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知らなきゃ損する!相続と税金のツボとコツ Vol.1
今年度から『相続登記の義務化』がスタートしました。
不動産の相続を知った日から3年以内に登記しなければ10万円以下の過料が課せられる可能性があります。
*過料…行政上の秩序の維持のために違反者に制裁として金銭的負担を課すものです。刑事事件の罰金とは異なり、過料に科せられた事実は前科にはなりません。(裁判所HPより)
また、相続税の申告期限10ヶ月を過ぎてしまうと以下の特例が適用できなくなります。
【配偶者の税額軽減】
・・・配偶者が法定相続分か1億6,000万円までの取得について相続税が掛からない
【小規模宅地等の評価減】
・・・自宅を相続した場合に330平方メートルまでの部分について80%評価額を減額できる
ただし、以下の申請をしておけば、申告期限から3年以内に分割が完了すればこの2つの特例が適用可能になります。
それは、申告期限までに ①『相続申告書』とともに ②『申告期限後3年以内の分割見込書』 を提出することです。
この場合には、いったん軽減措置を受けない場合の税金を払い、3年以内に分割が行われた時点で税金の還付を受けることができます。
絶対に忘れてはならないのが ① と ② を期限内に完了することです。
1.相続のトラブルは稀なこと?
相続は突然のことが多いため、ご家族の話し合いがうまくいかずに裁判に持ち込まれるケースが年々増えています。
令和3年度の『司法統計年報』によると、遺産の総額が1,000万円以下のケースが約33%、1,000万円~5,000万円以下は約44%だそうです。
合計すると、遺産が5,000万円以下のケースが裁判全体の8割近くとなっています。
うちはお金持ちじゃないから大丈夫と他人事にはできません。
相続で損をしたり、相続が原因で仲違いしないように、正しい知識を身に着けて、日頃から機会をみつけてご家族で話し合いをしておくことが大切です。
2.身近な相続トラブル~法定相続分~
20年以上前のことです。私の祖母が亡くなった際に、母の兄弟姉妹が遺産分割で揉めてしまいました。
幸いなことに裁判となることはありませんでしたが、当時60代だった母は心の中でモヤモヤしながら『遺産分割協議書』にハンコを押したそうです。
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祖母には長年節約して貯めた預金があったそうです。『遺言書』などはありませんでしたから、法定相続分(兄弟姉妹の人数で等分)が法律上の権利でした。
ところが、男女でかなりの金額差があったため、母には不平等な配分だと思えて他の姉妹と共に異議を唱えたのです。
あちら側にも言い分があり、介護や入院中の世話などをした分は上乗せがあって当然だと主張しました。
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このように、生前の介護や家業の手伝いを遺産分割にどこまで反映するかについては簡単ではありません。
親が亡くなって相続が発生した場合に、親の面倒を見ていた家族とそうでない家族では『財産形成に対する貢献度合い』が異なるため、単純に法定相続分で割り切るわけにはいかなくなります。
このため民法では『寄与分』という上乗せを認めています。
3.寄与分とは?
単に親の介護をしていたとか身の回りの世話をしていただけでは認められません。『財産形成に寄与』していなければならないのです。
今までやっていた仕事を辞めて、親がやっていた家業を無償で手伝っていたなどの、普通はそこまでしないと考えられる場合でなければ、『寄与分』が認められないということです。
また、通帳や家計簿の提出を求められることも多く、生活費を出してもらっていたと反論されて不愉快な結果に終わることも少なくないようです。
面倒をみてくれた家族に多くを相続させたいなら、『遺言書』を整えておくことが必要です。
法務局:自筆証書遺言書の作成例より
【自筆証書遺言】
無料でいつでも書けるもので、財産目録だけはパソコン作成が認められています。
2020年からは『自筆証書遺言』を法務局で保管する制度も始まりました。今まで必要だった裁判所での『検印』も不要で、各相続人に遺言があるという通知もしてくれる便利なサービスです。
遺言にはその他に以下の二つがあります。
【公正証書遺言】
詳しくは、日本公証人連合会HPへ
【秘密証書遺言】
詳しくは、日本公証人連合会HPへ
4.身近なトラブル~実家じまい~
10年以上前に見聞きしたケースです。
こちらも『遺言書』がなかったため、それまでは仲の良かった兄と妹が実家の相続で揉めて、双方が弁護士を立てて争いました。
土地建物をしばらくそのままにしておきたいという兄と、すぐに売却して、法定相続分(1/2)を現金で受け取りたい妹が対立してしまいました。
このケースも裁判にはなりせんでしたが、その間に兄夫婦の関係が悪化して離婚することになり、手に入れたばかりの新居を売却することになってしまいました。
誰も住まなくなった実家をどうするかは、相続人ごとの想いが一致しないことがあります。
でも、このことは知っておいてください。
一定の要件に当てはまるときは『空き家を売ったときの特例』があり、譲渡所得から最高3,000万円まで控除することができるのです。
せっかくの財産を効果的に受け継ぐことも相続の大事なポイントと言えるでしょう。
長くなりましたが、今日の記事の結論です。
『相続』が『争続』になることは、誰の身にも起こりえることだということを忘れないでください。
世代交代はいつか訪れます。その時になって慌てることのないように、お盆や年末年始に集まったときなどに少しずつ話題にしていきましょう。
その際には、相続される側ではなく、その資産を築いた方の幸せを第一に考えて、豊かな老後が送れることを目的とすればスムーズに話し合いができるでしょう。
2025年には65歳以上の2割が認知症だそうです。ご両親や祖父母がそのようになる前の対策が必要です。次回はそのことについてお伝えしたいと思っています。
私は税理士でも弁護士でもありません。住宅に詳しいファイナンシャルプランナーの視点から『住宅』ができるだけ価値のある資産となるようにアドバイスしています。
住宅の購入は、お金の運用ととても似ています。
年数を経てプラスになるかマイナスになるか、その違いを生むポイントはどんなことでしょうか?
資産価値の高い住宅購入のポイントや実家じまいなどのご相談もよろこんで承っております。
また、土地~会社選びに不安を感じている方もぜひ私たちにご相談ください。
おうちコンシェルでは、数多くの土地と住宅会社を見てきた専門家が無料でアドバイスしています。
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