地震に強い住まいにするためのポイント
こんにちは。
(今日のブログはとても長いです。どうしてもお伝えしたいことがありました。)
熊本地震で被害を受けた住宅は7万棟を超えているそうです。
今も多くの方が不自由な生活をしていらっしゃいます。
今回の住宅被害は、これまでの大地震の被害と比べて特徴的なことがあります。
それは、新耐震基準(2000年基準)以降に建てられた新しい住宅の被害が目立つことです。
建築後数年~十数年しか経っていないのに倒壊したり
大破して住めなくなってしまったら・・・
断層沿いや盛り土の造成地での被害が際立っていますから
まずは、できるだけ地盤の良い場所に建てることです。
軟弱地盤をできるだけ避けたいけれど、それが利便性の高い住宅地だったら
どちらを優先するか迷ってしまいますね。
また、日本中至る所に、まだ明らかになっていない断層が多く存在するではないかとも言われています。
家族が安心して住める家を建てるにはどうしたらよいのでしょうか?
⇒ポイント①
「壁量を増やす」
住宅の耐震等級2(基準の1.25倍)以上、できれば等級3(1.5倍)の
壁量(壁倍率)が、これからは求められるのではないでしょうか?
広々としたリビングを重視して、基準ぎりぎりで建てるのではなく
必要に応じて耐力壁を配置することが大切だと思います。
間取りをプランする時には、光と風を取り入れたいからといって
窓等の開口部を多くしすぎると、耐力壁が少なくなるということにも注目してください。
⇒ポイント②
「地震で落下しにくい壁」
①の壁量を守っていても、地震で内壁や外壁の面材が破損してしまうと
柱や筋カイ等を押さえることができなくなります。
壁に押さえられているから耐力壁が存在するのですね。
サイディング等の外装材を引っ掛け金物で取付けると
ピンポイントで引っ掛け金物に地震の揺れが伝わり
外壁が落下する危険性が高まるのではないかと言われています。
外装材に重いALC版を使う際には特に注意が必要です。
⇒ポイント③
「壁量と荷重のバランス」
ちょっと耳慣れない言葉ですが「偏心率」をできるだけ小さくすることが安全への近道です。
わかりやすく言うと、「偏心率」とは、「重心」と「剛心」のズレの大きさとも言えます。
*「重心」・・・建物の重さ(バランス)の中心です。
*「剛心」・・・建物に外力がかかると、建物には回転しようとする力がかかります。
その回転の軸となる位置を剛心といいます。
建物のX方向とY方向の耐力壁のバランスが均等な場合は
「剛心」はちょうど真ん中になります。
地震等の力が加わると、建物は水平方向に変形するほか剛心周りに回転します。
ですから、「偏心率」が大きい建物は、部分的にねじれがでてしまい
限界を超えると曲がったり折れたりしてしまいます。
そうすると、その階の耐力が低下して、さらに地震エネルギーがそこに集中してしまいます。
2000年の建築基準法改正において、木造住宅においては
『偏心率は0.3以下であること』と規定されました。
0.3はギリギリの数値です。
できることなら、「偏心率」はできるだけ小さくなるように設計してもらうことが、
地震への備えの第一歩だと思います。
見た目重視の家づくりではなく、家族の命と財産を守るということを
これからはもっと重要視していかなくてはならないと思います。
おうちコンシェル/谷路啓子